「私、昭和46年度に息子が卒園したものの母親ですが、
　家の桐の箪笥を整理していたら、中から幼稚園の制服がでてきたんです。
　もう使いませんので、幼稚園に差し上げたいのですが。」
このようなお電話をいただきました。
夏休み中に届いたその制服を目にし、まずは大変驚きました。お届けいただいたことの嬉しさはもちろんですが、驚きの方が大きかった理由は、その制服が47年という歳月を経たものであるにもかかわらず、糊がぱりっと効いて、白さを保ち、新品同様だったからです。お母様が大切にしまっておいてくださったことがわかります。そうしてもう一つ心を動かされたのは、紺色のネクタイの裏を見ると、白糸で息子さんのお名前が丁寧に縫い取られていたのです。現在はお名前シールなどがありますので、アイロンでくっつけるものが主流ですが、当時はそのような便利なものはなく、名前付けといったら、こうして糸で縫い取りをしなければならない時代。ひと針、ひと針、どんな思いで縫ったんだろう。いただいた物は制服ですが、今も昔も変わることのない子どもの成長を願う母親の気持ちに、とても温かいものをいただいたように思います。「大切」ということって、こんなことだとも。昭和38年度に制定してから変わることのない制服。変わらない母親の思い。
幼稚園を支えてくださる宝物がまた一つ増えました。